五術

季刊五術より その10

【命とトの本質的差】     佐藤六龍著

 (季刊「五術」昭和60年12月号掲載文から抜粋 後編)

 

3、トの場合、占的占事によってトの占術の理論法則を、前述の三点を参考にして設定しなおさなければなりません。

占的占時の吉なり凶なりの条件(状態というべきか?)とトの占術の吉凶の条件が本当に一致しているか、どうかということです。

 

吉凶はたんに二者択一のようにみえても、その確率が極端にちがう場合があります。例えば、商売が繁昌するのを吉、繁昌しないのを凶、受験に受かるのが吉、不合格が凶、どちらも1/2ですが、その条件の度合いは大変にちがいます。

つまり、入学試験の場合は吉の条件(占術の理論、法則)を厳重にしぼって、すこしの凶もないのを吉としなればなりませんし、商売繁昌に吉は、吉と凶の条件をくらべて、結果的に吉になっていればよいということになります。

五行易の原則に、吉と凶の条件は、寡は衆に敵せず、というのがあり、吉なり凶なりの条件は多いほうのを少いほうより用いる、その判断の結論は衆である、という意です。

しかし、これを用いられるのは前述の三点を十分にのみこんだ人のみが使えるのであって、すべての占的占事に用いることはできません。

商売の吉凶いかんの占には用いられますが、合格いかんには用いられません。身体安否占には、この吉の条件と凶の条件の多少できめる方法は用いられますが、飛行機が落ちるか?という安否占には絶対に用いられません。

ジャンボ機は落ちない、という設定のもとに作られ、飛行しているのですから、それが落ちる凶条件というものは、たんに吉条件と凶条件の多少ぐらいできめられるものではないのです。

ようするに、占的占事の吉なり凶なりのおこりうる条件と、トの占術の吉凶条件が一致、または似かよっていなければならないということでしょう。

象意のことになりますが、トには難易と苦楽を断ずる度あいが非常に不明瞭です。占卜の六壬と断易は、吉の条件、凶の条件の多少で結論を出しますから、その多少で難易なり苦楽なりは判断できないという事はすぐ了解できることと思います。

ところが命になりますと、象意としての難易や苦楽が実に明瞭にでるように設定されています。特に子平などは、苦命楽命・横財・直財・楽財・苦財などとわけられるという特徴もあります。

以上、命とトの本質的なちがいに留意して五術を応用するのが正しい占術究明といえるでしょう。