季刊五術より その15
【富命と貧命】(命) 佐藤六龍著
- 季刊「五術」昭和56年6月号掲載分から抜粋 – 前篇
最近出して好評を得ている『四柱推命実践命譜』という書について大きな失敗をしてしまった。本そのものがどうこうというのではない。あの本は、中国近代史に登場する実在の人物の命式をあげ、四柱を究明したものであるが、その中にの
っている宋子文の命式について、大阪講習の密象科で、あるベテラン研究者から質問されたのである。
これは、日主庚金に根がなく、木の財星が三干三支で非常に強い。といって従財格になるかというと、生時に己土の正印があり、しかも日支の辰に通根している。
日主陽干の場合、いかに財殺食傷が強くとも、印があり通根していれば、従児従財従殺にならない、という原則にあてはまり、この命式は内格であり、木の財星が強く、日主が弱いことになる。つまり、財星は忌神となり、土金が喜神で水木
火が忌神という命式。『四柱推命実践命譜』にもこれはちゃんと書いてある。
質問者は、なぜあれだけの忌神の財なのに富豪なのか?という事である。たしかに、財多身弱の命である。しかもこの忌財たるや、実にしっかりしている根が三根あり、しかも日主に干合して倍加し、その上、年干の甲木より側支されている。
これほど強くしかもしっかりした忌財はちょっと類がないといえよう。
宋子文といえば、中国四大財閥の一人であり、先日亡くなった宋慶齢や米国にいる宋美齢と姉妹にあたる人で、その富豪はまた類のないものです。
密象科の講習で私は、たしかに忌財が強いが、乙木は日主を干合しており、年干の甲木が干合している乙を側支しないから、この甲木は忌財としてそれほど凶作用していない、また、弱い日主の庚金にしっかりした己土の印があるからよい・・・
など、いろいろと説明をした。これが大失敗という事である。
講習が終わって東京に帰り、ノートをいろいろとしらべてみると、大変な誤りをおかしている事に気がついた。
やはり、宋子文は正真正銘の貧命なのである。あれだけ忌財が強くしかも内格であるから、貧命の命式である。私はまちがった解説をしてしまった。ところでノートをみると、いろいろとそこに前に教えていただいたことが注意書きとしてこまごまと記入してある。これをすこし記してみよう。