五術

季刊五術より その5

四柱推命の象意(命)― 財・官・印について ―

季刊「五術」・昭和55年9月5日号掲載文から その1

 

一般に信じられていることは、子平はただ吉凶の断だけで、象意はむしろ紫薇斗数に頼るべきだということです。しかし、これは根も葉もないことであり、単なる想像にすぎません。

むしろ、紫薇斗数の象意は、ただの経験から一歩も出ず、ある星

がどんな象意かは、まったく理屈ぬきの経験で決められたものです。

ですから、経験のなかに錯覚があった場合は、理論あるいは法則

によって、その間違いを正すことができません。ただ、紫薇は紫薇なりのすばらしさがあるのです。

例えば、紫薇が高貴で天機が知恵ということは、経験的にそう感

じられただけのことであり、高貴と知恵が隣合わせになることは、単なる法則的な根拠もないのです。

しかし、子平の象意は、単なる経験だけではなく、どんな星がど

んな象意になるかは、きちんとした干関係によって構成されております。したがって、経験のしかたにおいて認識が正しければ、何の矛盾もなく、そのままとおりますが、経験の中に少しでも錯覚があれば、法則と相容れない結論になりますので、経験的な結論と法則による演澤的な結論が一致しなくなり、いずれの間違いかを判別すべき状態になります。

いうまでもなく、子平における変通星は、その性質をしめした名称で命名されており、その種類は、比肩、劫財、食神、傷官、偏財、正財、偏官(正式には七殺)、正官、偏印(正式には倒食)、

正印(正式には印綬)の十種類です。

変通星の象意は、基本的には正財、正官、印綬から成りたってお

り、つまり、

陽干は正財と印綬が基本

陰干は正官と印綬が基本

であり、他の変通星は、すべてこの三種類の変通星を基本にして展開されているのです。 もっと分かりやすく言い直すと、つまり、

陽干と干合するものが正財で陽干を生ずるものが印綬

陰干と干合するものが正官で陰干を生ずるものが印綬

というようになります。

だから、もっとも基本的な事実は、十干別にあげたら、

甲木は干合する己土が正財で正生する癸水が印綬

乙木は干合する庚金が正官で正生する壬水が印綬

丙火は干合する辛金が正財で正生する乙木が印綬

丁火は干合する壬水が正官で正生する甲木が印綬

戊土は干合する癸水が正財で正生する丁火が印綬

己土は干合する甲木が正官で正生する丙火が印綬

庚金は干合する乙木が正財で正生する己土が印綬

辛金は干合する丙火が正官で正生する戊土が印綬

壬水は干合する丁火が正財で正生する辛金が印綬

癸水は干合する戊土が正官で正生する庚金が印綬

というようになります。

次回に続く