季刊五術より その8
四柱推命の象意(命)― 財・官・印について ―
季刊「五術」・昭和55年9月5日号掲載文から その4
比肩というのは、日主とおなじ陰陽、おなじ五行にあたる干です。
劫財というのは、正財を剋す干です。
食神というのは、正財を生する干です。
傷官というのは、正官を剋す干です。
偏財というのは、日主が干合せずに剋す干です。
七殺というのは、日主を干合せずに剋す干です。
倒食というのは、食神を干合せずに剋す干です。
こういうことを念頭において考えたら、財、官、印をベースにして象意が一つ一つわかってきます。
比肩は日主とまったく同じ干ですが助けあわない方が大部分であり、乙木、丙火、丁火、戊土、己土、庚金、辛金、壬水、癸永はスタンダードな関係です。例外として甲木と甲木は助けあい、象意的にみると、むしろ印綬に似ております。
比肩の象意は、助けられたり助けたりしない関係だから、象意のポイントは、落ちつきです。ですから、得力や得制である比肩は、落ちつきがあるということです。そして、適度の関心をもちながら、お節介はしないということです。
不足の比肩は、ひっこみ思案、無関心などです。
大過の比肩は、猪突猛進、お節介などです。
劫財は正財をおさえる星ですから、いい劫財は、大過の正財をおさえる象意になります。
大過の劫財は、不足の正財とおなじ意味になります。
不足の劫財は、大過の正財とおなじ意味になります。
食神は正財を助けて生ずる星ですから、ちょうどいい食神とちょうどいい正財はほとんど似ております。しかし、正財のような力のイメージでなく、むしろ、柔で剛を制するような感じです。
食神が得力あるいは得制のばあいは、柔で剛を制する才能、やさ
しさ、抱擁力、親切、めんどう見のよさなどの象意があります。
不足の食神は不足の正財とほぼ似ており、頑固、保守、ケチ、自
分のカラにとじこもるなどの象意をもちます。
介などの象意になります。
似ているようでも、正財と食神には、はっきりした区別があります。
正財は物質的で、力で迫り、剛で剛を制します。つまり、根本は
剋です。
食神は精神的で、心で迫り、柔で剛を制します。つまり、根本は
生です。
傷官は正官を制することから、その象意は、正官をベースにして
考えたらいいのです。つまり、ちょうどいい傷官は、ちょうどいい正官と似ており、ちがうところは、傷官はやや切れもので、鋭い感じがします。そして、正官に比べて、はるかに積極的です。韋千里はいい傷官に対して、英明鋭利という言葉を使っています。
不足の傷官は、大過の正官を考えたらいいのであり、消極的で無
関心で、やる気がなくて臆病です。
大過の傷官は、不足の正官を考えたらいいのであり、積極的で出
しゃばりで、表現欲がすごいものです。
偏財はほとんど正財と区別する必要がなく、ただ財の偏であるものということです。質がやや落ちた財だと考えたら、大体あてはまります。
七殺は日主をおさえる干であり、得制や得力の場合、その象意は
ほとんど正官とおなじであり、すこし質が落ちる程度です。
しかし、欠点となると、正官にくらべてどぎつくなります。
不足の七殺は、大過の比肩をひどくしたものであり、乱暴、むちゃくちゃの一言につきます。
大過の七殺は、不足の比肩をひどくしたものであり、低能、無能、
愚図、臆病というようになります。
倒食は食神をおさえる干ですから、ちょうどいい倒食は、ちょうどいい食神とほぼ似ており、その柔かさはありませんが、やり手という面ではそっくりです。
食神は与えてもらう、負けて勝つというようなよさですが、倒食ははじめから勝ち、はじめからもらうよさです。
不足の倒食は大過の食神と似たところがあり、お人好し、おめで
たいというような象意です。
大過の倒食は不足の食神と似たところがあり、ずるい、真心がな
い、要領だけというようになります。
以上が変通星のもっとも基本的な考えかたであり、これらの象意を命式のいろいろな判断に用いたら、決して紫薇斗数、六壬命
理、奇門命理などに此べて、象意の面で劣ることがありません。
その活用法は、後日さらに稿を改めることにして、本稿はこの程
度でしめきらせていただきますが、要はただ一言。変通星の象意
は、財、官、印を基本に法則的に展開されでいることを認識すれ
ば、子平の象意というものは、決しでむずかしいものではないのです。