季刊五術より その7
四柱推命の象意(命)― 財・官・印について ―
季刊「五術」・昭和55年9月5日号掲載文から その3
今度は、正官について考えてみましょう。いうまでもなく、正官とは、
1、日主を剋す干
2、日主と干合する干
であり、剋すとは、支配する、制御するということであり、干合は必ず正の関係にあります。したがって、陰干だけでいう場合、正官があるということは、自分がただしく制御され、支配されていることですから、妄動などはないはずです。
得力あるいは得制である正官は、おとなしい、品位がある、風格がある、自制心がある、衝動的でない、エレガントであるという象意になります。
不足の正官は、以上の象意の不足ですから、衝動的、我慢できな
い、自制心がない、風格や品位がないというように取ればよいのです。
大過の正官は、以上の象意の大過ですから、臆病、引っこみ思案、
自分を抑圧するというようになります。
以上のような象意をもつ干を、陽干から求めますと、次のようになります。
甲の日主は辛金が正官でなく、むしろある条件のもとに、庚金が正官になります。ある条件とは、
1、秋月生まれ
2、燥木である
という条件であり、辛金なら、むしろ、財とみなされます。
丙火なら、壬水が正官であり、癸水はちょっと正官とはいえず、
ときには殺、ときには財になります。
戊土なら、なにが正官であるか、見当がつきません。
庚金なら、丁火が正官であることは、いうまでもありません。
壬水なら、戊土が正官であり、己土はむしろ、財か殺にあたります。
乙木なら、戊土の正官ではないかという疑問がありますが、そう
見なす場合、その象意は少し修正されなければなりません。
ちょうどよい乙木の正官は、人を大切にする、誠実という象意に
なりますし、
不足なら無関心。
大過なら一生いつも何かの重荷を背おうというようになります。
正財の象意は、正官をじゅうぶんに参考にして考えたらいいのであり、つまり、
1、日干が剋す干
2、日干が合する干
ということです。
我れが支配する、統率する、制御する、コントロールする、しか
も、正しくするのですから、陽干だけでいう場合、その象意は次のようになります。
ちょうどいい正財は、迫力がある、意欲がある、押しがきく、勤勉、経営や理財がうまい、ものごとの処理のしかたが上手、かけ引きがうまいなどの象意になります。
迫力がない、怠ける、浪費するということになります。
不足の場合は、相剋の相手が弱すぎることから、また相対的に自
分が強すぎるから、押しつけがましい、強引すぎる、強欲である、力のゴリ押しというようになります。
つまり、官と財は、大きな共通点があり、それは、
1、日主と他干の干合
2、日主と他干の相剋
であり、わずかにちがう点は、ただ、
官は、他干が日主を剋す
財は、他干が日主に剋される
だけです。
だから、象意もそれほどちがいがなく、むしろ、よく似ているといえます。正官、正財、印綬をベースにして、他の七つの変通星を考えますと、よくその象意がわかるようになります。